Case Study
横浜中華街のローズホテルらしい新ユニフォームのデザインでお客様にもスタッフにもポジティブなメッセージを発信【ローズホテル横浜様】
ローズホテル横浜 様
2021年1月、横浜中華街にある異国情緒を満喫できるローズホテル横浜様は、スタッフの制服を刷新しました。ダイイチは、中華街で「ネオアジア」をコンセプトにしたショップを運営するロウロウジャパン様とのタッグのもと、制服リニューアルを担当させていただきました。今回は、ローズホテル横浜の総支配人・渡部様と、ロウロウジャパンのデザイナー・早園様にお話を伺いました。
制服は、スタッフがいかに気持ち良く働けるかが重要
制服をリニューアルしたきっかけを教えてください。
渡部様 :
私は、定期的に制服を変えることが働くスタッフのモチベーションアップにつながると考えており、制服というものを非常に大事なツールだと捉えています。前回、制服をリニューアルしてから4年くらい経っていたので、そろそろ変えたいなと思っていました。コロナ禍でスタッフが働く環境は大きく変わりましたが、こういった状況だからこそ、スタッフに対してもお客様に対してもポジティブなメッセージを発信していきたいと考え、今回の制服リニューアルに至りました。
リニューアルの大きなきっかけとして、夏と冬の制服を分けたいという思いがありました。もう一点、スタッフのジョブローテーションも関係しています。今、スタッフに様々な経験を積んでもらうことで、より意識や技量を向上させてもらいたいと考え、会社としてジョブローテーションを推進しています。特に料飲部のスタッフは、ホテル内だけでなく同じグループの重慶飯店も含め幅広くジョブローテーションをしているのですが、持ち場が変わるたびに制服を変えるのは大変です。そのため、ジョブローテーションをした先でも使えるような制服にしたかったという事情もありました。
リニューアルする際は、どんな制服にしたいと思っていましたか?
渡部様 :
第一に、スタッフの着心地を重視したいと思っていました。ですから、前の制服について気になっている点や改善したい点などをスタッフからヒアリングしたのですが、やはり動きやすさを求める意見が多く挙がりました。
また、スタッフのモチベーションを引き出せるよう、役職によって制服の色を変えたいと思っていました。「早くこの色の制服を着たい」「もっと頑張ろう」といった意識付けにつながれば、という意図です。実際に新しい制服では、ネクタイやポケットチーフ、サロンなどのアイテムを役職によって色分けしています。
「チャイナタウン」「薔薇」「横浜」をテーマに据えたデザイン
デザイン面では、どんなこだわりがありましたか?
渡部様 :
デザインに関しては、以前からお付き合いのあるロウロウさんに全面的にお任せしていました。ただ、根底にある要素として、中華街であることとローズホテル横浜の薔薇のイメージは意識していただきたいということはお伝えしていました。
早園様 :
私のほうでも、「チャイナタウン」と「薔薇」、あとは「横浜」という3つをテーマに据えてデザインさせていただきました。お客様が足を踏み入れたときに、「チャイナタウンに来た」とか、「ローズホテル横浜らしい雰囲気だね」といった印象を与えたいなと。あとは、横浜はプリントが地場産業なので、横浜らしさというところでプリントを採り入れたいなという考えもありました。
そう考えると、既製品の制服だとなかなか難しい部分がありました。ホテルに入ってきたお客様は、まず受付の方と接するじゃないですか。ですから、受付スタッフの制服はオリジナルで作ることにして、それ以外の制服は既製品に薔薇柄のプリントをあしらったりして、オリジナリティをプラスする形で進めることになりました。
私も20年近く中華街で仕事をしていて、ローズホテル横浜さんにはランチに行ったりディナーに行ったり、しょっちゅう出入りさせていただいていています。以前にも制服をデザインさせていただいたことがあり、個人的にもすごく思い入れが強いホテルです。ですから、「こんなイメージの薔薇だったら重厚感のあるシックなインテリアに合うんじゃないかな」とイメージしやすかったですし、働いているみなさんのお顔も何となく分かっていたので、制服を着ている姿を想像しながらデザインできました。
従来のホテルの常識にとらわれず、夏服として半袖を導入
デザイン以外で、前の制服と大きく変えたポイントはどのあたりでしたか?
渡部様 :
動きやすさを追求するために、女性スタッフの制服をパンツにした点が一つです。あとはやはり、夏服として半袖を導入したのが大きいですね。
私が入社した頃は「ホテルは季節感を感じさせない場所だ」という教えがあり、通年同じ制服を着るのが当たり前でした。ですが、この10年、20年で温暖化が進み、夏はどんどん暑くなっています。真夏に長袖を着て働くスタッフもつらいですし、お客様の印象としても、スタッフが暑苦しい格好をしていたら萎えてしまうじゃないですか。
うちは横浜のホテルで屋上にプールもありますので、夏場はリゾートという位置付けで、思い切って半袖を導入することにしたんです。
実際に新しい制服を着たスタッフのみなさんの反応はいかがでしたか?
渡部様 :
「制服を変えるよ」って言うと、みんなすごく楽しみにしてくれるんです。ですから、満を持して新しい制服をお披露目したときも、「わー!」って言って喜んでくれましたね。薔薇のデザインも好評で、特に女性スタッフは嬉しそうでした。
夏の半袖は、肌の露出があるので最初は気にするスタッフもいましたが、実際に着て仕事をし始めたら「こっちのほうが良い」と気に入ってくれています。
新しい制服に対してお客様から反応はありましたか?
渡部様 :
フロントに女性スタッフが並ぶと、薔薇が咲き乱れているようで本当に壮観です。口コミに「華やかで素敵です」などと書いてくださるお客様もいらっしゃいますね。半袖は今年の夏から着始めましたが、「爽やかでいいですね」というようなお声もいただきます。ホテルらしくないとか、否定的な意見は一切ありませんね。
制服のプロとデザインのプロが、お互いの強みを融合させてくれた
制服リニューアルプロジェクトを振り返ってみて、いかがですか?
渡部様 :
今回は、制服のプロであるダイイチさんと、デザインのプロであるロウロウさんが、お互いの強みをうまく融合させてくれました。「いいとこ取り」の制服ができたので、本当に満足しています。
我々は、地元・横浜の企業さんとのつながりを大切にしたいという思いがあるのですが、今回がまさにそうで、横浜の3社がうまくコラボできたのも良かったですね。
早園様 :
今回は、ダイイチさんが機能面の設計や生地選びをされて、私がデザインをするという形で参加させていただきました。あまり例のない形のコラボレーションでしたが、だからこそ、オリジナルデザインの良さと、機能性や着心地の良さを織り交ぜた素敵な制服ができたと思っています。
私は洋服屋なのですが、洋服と制服では機能や生地に関する考え方がまったく違います。そういった意味でも、今回私はデザインだけに集中できたので、安心して楽しくお仕事ができましたね。
ダイイチという会社にどんな印象をお持ちでしょうか?
渡部様 :
我々の要望をしっかりと聞き入れてくださって、近くで話をしながら対応してくださるので、安心してお任せできますよね。
以前から制服のレンタル契約をさせていただいているのですが、手間がかからないので助かっています。買取の場合、制服が破れたりしたら自社で縫製したり買い直したりしなければいけませんが、レンタルならダイイチさんが全部やってくれます。会社として余分な負担にならないので、本業に専念できますよね。
今後、ダイイチにどんなことを期待しますか?
渡部様 :
これから環境も時代もますます変わってくると思いますが、プロの制服屋さんとしてどんどん先取りしていただき、良いご提案をいただければと思っています。
もちろん「基本」というのは大切で、崩せない部分もありますが、それだけにとらわれていると時代に取り残されてしまいます。企業として生き残っていくには、常に先を見ながら変えていくことが大事です。コロナで大変な時期ですが、今後も横浜の企業同士、地域を盛り上げていけたらと思っています。
最後に、これから制服の導入・リニューアルを検討している方へメッセージをお願いします。
渡部様 :
制服って、ただ単に仕事とプライベートの線引きをするために着るものではなくて、機能性も含め、社員の働きやすさを向上させ、働く意欲を駆り立てるものだと思います。「社員に良い仕事をしてもらうためのツール」という捉え方で、制服の導入を考えてみるのが良いのではないでしょうか。
我々のように動き回る仕事なのか、事務職なのかによって必要な機能性やデザインは変わってくると思いますが、あらためて「制服とはなんぞや?」という原点に立ち返って、その場その場に合った制服を導入していただきたいと思います。