Case Study

インタビュー

法人の理念を体現するべく、最もふさわしいカラーを使用した新ユニフォームにモデルチェンジ【社会福祉法人池上長寿園様】

社会福祉法人池上長寿園 様

社会福祉法人池上長寿園

東京都大田区で7つの特別養護老人ホーム、11の在宅サービスセンター、9の地域包括支援センターなど、在宅から入所まで高齢者介護の総合的な事業を展開している社会福祉法人 池上長寿園様。地域に根差したサービスを先駆的に取り組みながら、地域住民の思いに応える事業を展開されています。2016年の民営化を機に経営理念を盛り込んだユニフォームのリニューアルプロジェクトに取り組まれた皆様にお話を伺いました。

脱ジャージ!法人の理念を象徴する介護ユニフォーム

2016年、事業の民営化と同時期に介護ユニフォームを全面リニューアルされたのですね。

以前のユニフォームは更新しながら、既に6年以上着用していました。民営化のタイミングでイメージ展開を図るため、全面的にリニューアルする動きになりました。2014年4月1日から、そのリニューアルのプロジェクトが動きました。理事長からも今年はユニフォームを変え、今の運動着のような格好から脱却してほしいという思いをうかがいました。この思いはとても強く、大切にしていらっしゃいましたので、その命を受けて進めていきました。

リニューアルで採用されたアイテム教えていただけますか。

以前は紺色のジャージの上着にジャージのズボンで、中にピンクやブルーの淡い色のポロシャツを着用すると運動着のようでした。今回はカーディガンとシャツとズボン、入浴介助に使う短パンとTシャツ。加えて看護師と栄養士にはエプロン、ユニフォームという形はとっていませんが、冬の防寒着も揃えました。アイテムの色もコーポレートカラー、コーポレートアイデンティティとしてどういった色がよいのか、色の意味を調べて検討しました。

“未来への創造、歴史を紡ぎ今に挑戦する”というのが当法人の理念です。歴史を紡ぎ今に挑戦するという言葉から、法人にふさわしい色を考えていきました。青色に、「変化」「流れ」という意味があり、「歴史を紡ぐ」という意味合いには青色を、赤色には「情熱・チャレンジ」という意味があり、「“今”に挑戦する」という意味合いには赤色を、これらのことからテーマカラーは青色と赤色に決めました。

事業の垣根を超えて構成されたプロジェクトチーム

リニューアルにはどのくらいの期間がかかりましたか?

およそ1年くらいでしょうか。プロジェクトチームを立ち上げて、まずは業者の選定。訪問していただいている業者さんに加え、インターネットで調べるなど、5社ぐらい候補を出し、こちらからの希望を伝え、いろいろなご提案をいただいて、最終的なプロポーザルは3社に絞りました。その後、ダイイチさんに決定して、現場の職員を含めたプロジェクトチームで、ダイイチさんの製品の中からどれにするかという話し合いをしました。

3社の中からダイイチを選ばれた決め手は何ですか?

最初のイメージの段階からデザインとご提案の内容が、私たちの気持ちに一番近いものをお持ちいただきました。社風や変更したいポイントを、こちら側から伝えるのではなくて、ダイイチさんの方から引き出してしてくれたという印象が強かったです。 他社と比較したとき、ポロシャツのようなご提案が多い中、こういったキリッとしたデザインはなかなかありませんでした。落ち着いたグレーや紺色という意見もありましたが、プロジェクトチームの中ではこのチェックの柄が一番いいという意見にまとまりました。

【ダイイチ:柳下】介護職のウェアというとやはりポロシャツなどニットのシャツといった傾向です。それをY シャツのような生地に変えてしまうと動きづらいとか、耐久性が良くないなどの課題もありましたが、そこを改善し、ご要望を満たしたものをご用意させていただきました。現在ご着用いただいているシャツは、ボタンは第3ボタンまで、その下はダミーのため、かぶりで着用するものです。ボタンも取れにくく配慮され、着用時の乱れも防ぎます。

リニューアル中に苦労したことはありますか?

野口様 :

総務課が担当することになったのですが、他の業務もある中でプロジェクトチームを立ち上げて、中心になって進めることになりました。事務職員だけでなく、施設の全体的な流れが分かる方を加えて進めたいと考え、現場のメンバーに加わっていただきました。やはり周りを巻き込んで行かないと何も進んでいきません。従来のものをそのまま更新すればいいいう考えではなく、ユニフォームを変えるんだという強い気持ちを持つ必要があります。民営化をきっかけに「新しいステージへステップアップするためにはどうしましょうか」、「私たちの理念に沿ったユニフォームを決めていきましょう」というふうに巻き込むところが難しかったです。

藤平施設長様 :

私が現場から本部に異動した年にリニューアルプロジェクトを立ち上げたので、本部機能の感覚と、現場で働いている感覚とがうまく合うことで、より良いもの、より快適なものができると考え、タッグを組んでやっていきました。

千葉様 :

最前線の現場職員に、動きやすく、着慣れたユニフォームを、なぜこのタイミングで、なぜここまでガラッと変えるのかをわかってもらうことが必要でした。現場の職員に選定メンバーに入ってもらって、思いを共有していく過程では、日常業務の忙しさもあり、選定の時間を取ることや調整に苦労もしました。選定にいたっては、本当に価値観がいろいろですし、個々の好みもありますので・・・ メンバーで理念を共有していても、服の好みは本当にそれぞれで、意見はバラバラになってきます。でも、地域に出た時に、運動をするようなジャージ姿から脱却したいという思いがありましたので、ご利用者の生活の場に入っていく専門職であるというイメージを打ち出していくためには、どういうものを選ぶべきかという点に立ち返ることで、しだいにまとまっていきました。

野口様 :

決定するまである程度期間があったにも関わらず、施設スタッフに試着してもらう機会が少なかったことは反省点です。試着をすると様々な意見が出てきてなかなか決まらなくなる懸念もありますが、そこは淡々と進行して、試着したという実感を職員に残していたら、より納得してもらえたのかなと思いました。

柴田次長様 :

それまで私たちの中ではユニフォームという概念はなくて、職服でした。規程も職服貸与規程という名称でした。民営化をきっかけに、ロゴマークを変え、ユニフォームも変える。職服からユニフォームに変えることで、コーポレートアイデンティティを見えるような形で打ち出してしていきましょうというのが法人の思い。施設に入居されている方々だけではなく、大田区の地域における特別養護老人ホームを中核とした私どもの高齢者のサービス展開という職務にふさわしい装いの理想像を描き、思いを共有することで整理されていったと思います。

統一したユニフォームで総合的なサービス提供

ご利用者様や地域の方々の反応はいかがでしたか?

デイサービスの送迎などでは、ケアマネジャーさんなどからも、明るくなったね、おしゃれになったねとすごく言われました。ご家族からも、雰囲気が良くなったという声がかかりました。やはり一番よく言われたのが、明るくなったということですね。

【ダイイチ:柳下】以前はパステルカラーのものでした。そこから、今回はビビットなものに変わったことで明るい印象を与えたのだと思います。

よく聞かれる質問は、赤と青でどう違うんですか? 職種や役職で色分けしているのですか?と聞かれますが、区別はありません。職種でユニフォームを区別しないというのも、一つの方針です。ユニフォームだから一つにしようという。看護師さんも栄養士さんも、これにエプロンというスタイルです。

お客様から担当が分かりにくいなどと言った意見は出ませんか?

職員全員がいろいろな質問にもお答えできることが私どもの専門性だと思っています。医療的な質問でも、窓口の事務員が即答できないけれど、声をかけていただければ担当者につなげる。全てのスタッフが同様の対応ができるような体制をとっていますので、ユニフォームでの境界はない方がいいと思っています。 シャツの赤と青の区別は職員本人の裁量に任されています。

4枚配付なのですが、2枚×2枚の人もいれば3枚1枚の人もいます。 こだわって日曜には赤を着るという人もいます。利用者さんに今日は日曜と知らせようという思いもあって、フロアー全体でそういう着方をしているところもあります。イベントの時には、今回は青で揃えようとか。統一することもあります。

ダイイチに対する印象は

ダイイチの印象を教えてください。

希望を出せば対応してくださる業者さんというイメージです。一緒に工夫してやってくださる、というところは今までの業者さんとは違った印象です。 経営本部で集中して契約などはしているのですが、現場にも頻繁にお顔を見せていただいているので、現場ごとの事務担当者や、介護スタッフなども顔見知りになるほどです。最終的には着用後イメージ写真のモデルまで…。
ユニフォーム着用後のマナーのマニュアルに、柳下さんなどダイイチの方がモデルになっていただいていました。

【ダイイチ:柳下】新しいユニフォームをどのように着こなすとよいか、身だしなみのルールをマニュアルにし、提供させていただきました。

ユニフォームをリニューアルする際のアドバイス

今後ユニフォームをリニューアルしようと思われる方に、アドバイスを教えてください。

法人としての理念をしっかり持ち、ユニフォームを更新するんだ、選定するんだという思いが立ち上がっているということが大前提です。そこから担当者が迅速に動けるように、いろいろな職種、職員の協力を得て、ユニフォームを変えていく、決めていくということに強い思いを傾けていかないと、まったく決まっていかないと思います。他人ごとではなく自分のこととして考える必要があります。あとは周りのみんなを巻き込んで、一緒に考えてもらう。理念を共有したうえで考えてもらうということで、ただの実務的な作業着ではなく、法人の理念を象徴するユニフォームができていくと思います。

社会福祉法人 池上長寿園様