Case Study
「FUJIOH」ロゴのデザインが作業服に込められていたことが決め手に【富士工業株式会社(FUJIOH)様】
富士工業株式会社(FUJIOH)様
レンジフードのリーディングカンパニーとして、日本ナンバーワンのシェアを誇る富士工業様。2018 年12 ⽉にFUJIOH をコーポレートブランドへ進化させたことをきっかけに、ユニフォームを刷新されました。ダイイチは、全社員が着用する作業服リニューアルを担当させていただきました。
今回は、制服リニューアルを担当されたコミュニケーションデザイン部の岡田様、廣田様にお話しを伺いました。
FUJIOHとして全社員が一丸となって進むために
制服リニューアルの経緯を教えてください。
岡田様 :
会社として創業80年近くになり、それまではレンジフードのOEMがビジネスの主流で、ブランドを必要としていませんでした。そのため、会社名だけでビジネスをしていたのですが、今後海外市場の拡大や、半世紀近く培ってきたレンジフードの技術を業務用等に展開していくために、海外で展開していたFUJIOHブランドを進化させ、2018年12月にコーポレートブランドを立ち上げました。
そこで、従来「富士工業」と入っていたユニフォームを改めて、FUJIOHの名前の入ったユニフォームを全社員が着ることで、一丸となって進むためにプロジェクトがスタートしました
まず、社内でどのようにプロジェクトを進めたのですか?
岡田様 :
リニューアルにあたって、ブランド委員会の中に作業着部会を作り、どんな作業服にすべきかを議論してもらいました。⼀つ⼤事なのは、⼯場なので作業上使⽤に耐えるもの、危険のないもの、会社の作業着規定に準拠していること。それをクリアした上で、策定したブランドのコンセプトに即したデザインを作れないかと、御社にもお声がけさせていただきました。
3社コンペでしたが、コンペ後はデザイン案をどのように絞り込んだのですか?
岡田様 :
コンペで10数案デザインが出てきて、まずはブランドのイメージと外れたものを除きました。
最終的に残した案を全社員の投票で決めました。まだコロナ禍の前でしたので、食堂にパネルを掲げて、帰りがけに投票してもらう形で一番多い数のものに決めました。
全社員投票だったのですね
廣田様 :
ほぼ全員が投票しました。みんなの着るものなので、純粋にその数で決定しました。
デザインを絞り込んでいく作業の中で、苦労された点や印象に残っている点はありますか?
岡田様 :
制服が作業の妨げになってはいけないので、作業着部会には生産現場からもメンバーに何人か入ってもらいました。私たち間接部門にとっては、思いもよらないような要望もあり、居てくれて助かりました。製品に傷がつかないように、ファスナーやボタンではなく、面ファスナー仕様にしたいといった要望を、一つ一つクリアしていきました。
間接部⾨では上下どちらかが明るい⾊のパターンが⼈気だったのですが、⼯場では汚れが⽬⽴たないことを望む声が多くあり、結果的には上下ともに濃⾊のパターンが選ばれましたね。
ブランディングの観点から、ユニフォームのデザインが合致しているか検討されたと思います。今回のデザインはどのような点を気に入っていただけたのでしょうか。
岡田様 :
一つはコーポレートカラーをベースにしていただいたことです。それから、ロゴのデザインが取り入れられているところですね。ロゴデザインはこだわりを持って作ってもらいました。お客様とお客様をつなぐFUJIOHになりたいという思いと、モノづくりの会社として精度が高く、小さな溝にもスパッと部品が噛み合うことを表現したデザインです。このこだわりをユニフォームに取り入れて、ロゴをあしらうだけではなくて、ロゴに込められたデザイン的な意味を作業着にも込めていただいたところです。
支給されて、全員同日着用スタートだったのでしょうか?
岡田様 :
猶予期間を設けました。現場はすぐに汚れるので、毎日交換する必要があります。最初は一人1着支給だったので、古い作業着も併用していました。当時はまだコロナ禍ではなかったので、月に一回会社の食堂に全社員が集まって朝礼がありました。徐々に新しいユニフォームを着用している人が増えていく様子は、見ていて嬉しかったです。
リニューアルしたことによって、社内の雰囲気は変わりましたか?
岡田様 :
最初は変わることに抵抗のある人もいました。コーポレートブランドを立ち上げる意味を経営層と社員が同じ目線で考えるのは難しいですよね。そういう意味でも、みんなが新しい作業服を着ることで、初めてFUJIOHの何かを自分で身に着けることになります。そこでそれぞれがFUJIOHの一員であると認識するので、インナーブランディングが一つ前に進んだと思います。
いまは旧制服を着ている方はいらっしゃらないですか?
岡田様 :
今はいないですね。旧制服は循環型リサイクルシステム「BRING」で回収しました。
※「BRING」は、使用済みのユニフォームを回収して、ポリエステルを抽出し、再びポリエステル繊維をつくる循環型リサイクルシステムです。
SDGsに取り組む中
コンペ要件にリサイクルは不可欠だった
岡田様 :
コンペの際、提案要件に制服のリサイクルに関する項目を入れさせていただきました。それまでは汚れて着られなくなったタイミングで交換していたので、一辺に大量の廃棄物が出ることはありませんでした。しかし、今回は一斉入れ替えのため、社員1000人で一人3着支給していれば、3000着が廃棄になります。それをただ捨てるのは時代に合わないと思ったので、各社にリサイクルの提案をお願いしました。
ダイイチさんから具体的な提案があったことも差別化のポイントで、御社を選んだ理由の一つだと思います。
リサイクルを要件に入れるというお話は、最初からあがっていましたか?
岡田様 :
そうですね。各社へのオリエンテーションの段階で資料に入れていました。会社がちょうどSDGsに取り組もうという機運があがってきたところだったので、当然入れるべきだと思いました。
ユニフォームはサグラダ・ファミリア
状況に合わせた変化が必要
これからユニフォームを検討する方にリニューアルの先輩として、アドバイスをいただけますか。
岡田様 :
ユニフォームはサグラダ・ファミリアのように、永遠に完成しないかなと思っています。時代に合わせたり、その時の状況を反映させたりする必要があるからです。服はユニケーションツールの一つでもあります。業種や職種によって違うと思いますが、ユニフォームは周りの状況に応じて変化せざるを得ません。アフターフォローをしっかりしていただき、常に困ったことはないか聞いてくれるパートナーさんと一緒に作り上げることをおすすめします。