コラム

企業ユニフォームで表現できる、従業員の個性を認める姿勢

はじめに

多様化する働き方

私たち日本人は、組織における仲間意識、連帯感を大切にする国民です。企業・団体のメンバー間に連帯感を芽生えさせるうえで、同じ制服・ユニフォームを着せるのはとても有効な方法です。学校生活はもちろん、社会に出た後も制服・ユニフォームが身近にあるのは、企業側が連帯感を育むことによって組織力が向上することを知っているからです。

近年は働き方の多様化する時代。連帯感を重視する一方で、一人ひとりの能力を認め、引き出すためにも個性を尊重する企業・団体も増えてきました。
全身すべて同じ服装の場合、連帯感を重視する企業・団体と見られます。制服と私服を組み合わせて着せている企業は、仲間意識、連帯感を重視しつつも社員の個性を尊重する企業という風に映ります。人材確保のためにも従来の慣習を踏襲するだけではなく、新しい発想で制服・ユニフォームを検討してみましょう。

企業ユニフォームで従業員の個性を認める方法

具体的な4つの方法

採用するアイテムや着用のルールの自由度を上げることで実現できることもあります。実際に各企業で取り組んでいる内容は以下の通りです。

➀アイテムを絞って、選択制を取り入れる
例)ボトムのデザインを数種類から選ぶ
➁アクセサリーや付属品の着用方法が様々にアレンジできる
例)スカーフの巻き方
➂コーディネートができる何種類かのアイテムを採用し、個々が自由に着こなす
➃アウター(1アイテム)のみ制服にして組み合わせる衣服は私服、個人で選ぶ

➀➁➂はすべてユニフォーム、➃はユニフォームと私服を合わせる方法です。

統一感を持たせながら自由に選べる要素があることで自分らしさを表現できます。

ユニフォームの特性を活かした活用方法

ユニフォームは思考をコントロール

ユニフォームは良い面ばかりではありません。個性や思考をコントロールする力があるのも事実。企業の統一性や帰属意識を象徴すると同時に個性を抑制するという側面もあります。
ユニフォームを着ている時には所属している組織や企業の代表としての行動を意識し、自分勝手な行動を控える気持ちも生まれますが、個人的な意見やアイディアを発言する意欲も減ってしまいます。間違った意見や行動をしたくないという気持ちが勝るためです。これでは、個性を生かして自分らしく生き生き働くことも叶いません。

ユニフォーム廃止で解決?

では、ユニフォームを廃止すればよいのでしょうか。一見、経費の削減もでき、一石二鳥となるように見えますが、これはとても危険な要素が潜在しています。
実際に廃止した企業では、従業員からは「毎日何を着ればいいの?」「オフィスカジュアルってどこまで許されるの?」など多くの声が上がっています。
私服化の当初はきちんとした服装を心掛けていても徐々に乱れるケースも多く、基準を決めてもファッションの変化で常に更新が必要となってしまいます。身だしなみに関しての指導はハラスメント行為となってしまうことも考えられ、非常に困難です。一度廃止した企業や団体が制服・ユニフォームを復活させた例も少なくありません。

また、制服・ユニフォームのない企業や職種では、採用の面接時にドレスコードについての質問があるようです。仕事で着用させる服装は、企業としての統一感と個性とのバランスをとることがとても重要です。

制服・ユニフォームと個性のバランス

ある企業では制服をリニューアルするタイミングで私服とのコーディネートを考えたデザインを採用したそうです。企業としての統一感を保ちつつ、着用者の職種、性別、体型、気温の感じ方、その日の業務など様々な要因で組み合わせるアイテムを変えることができ、社員に好評です。
組み合わせるアイテムを考える時間が必要になりますが、その日に会う方に与える印象を考え、相応しい服装ができるということは業務の質の向上につながります。結果的に営業ツールにもなり得ます。

具体的な採用事例

ホテルエディット横濱様

ユニフォームと私服とのコーディネートした事例
https://www.un-daiichi.co.jp/casestudy/1263/

株式会社小田急リゾーツ 箱根ゆとわ様

アクセサリーで様々にアレンジした事例
https://www.un-daiichi.co.jp/casestudy/1279/

まとめ

企業の制服・ユニフォームのあり方はその企業の従業員の個性尊重の考え方につながります。自社の考えた方を整理して、自社に合った人材確保のためにも従来の慣習を見直し、新しい発想でこれからの制服・ユニフォームのあり方を検討しましょう。

ライター 井上 祥子